小)何やってんだよ。

片)えっ、ダンボールアートだよ。タイトルは、「積み上がった夏物冬物夏物冬物台所関係」。

小)分かった分かった。じゃあ台所関係台所持ってってくれ。

片)ああ、はいはいはい。ヨイショ。「傾いた台所関係」。

小)邪魔邪魔邪魔邪魔。あれ?これ通れねぇや。

片)斜めにしてみ。

小)うん。ダメだな。

片)じゃあ外置いとけば。

小)ダメだよ。こんなもん外置いといたら、皆が待ち合わせ場所にしちゃうだろ。

片)しょうがないじゃん、入んないんだから。

小)知らないぞ。

片)「地獄の門ダンボール革命」

小)邪魔だと言ってるだろう!

片)あーごめんごめんごめん、手伝うよ。

小)これで終わりだよ。

片)何だ、力余ってんのに。

小)じゃあ「地獄の門」解体してくれ。

片)「地獄の門」解体。あれ、バカヤナギは?

小)レンタカー返しに行った。

片)なんだあいつ。手伝うだけ手伝わしといてよ。缶ジュースぐらい買って行けよな。

小)なー、あいつそういうとこが気が利かないんだよ。いいよいいよ、夕飯に寿司でも奢らせようぜ。

片)俺フォアグラ寿司。

小)酢飯にフォアグラって合うの?

片)違う違う違う。キャビアとフカヒレでフォアグラを挟んであんだよ。

小)あー、それはもう寿司じゃないな。

片)まあな。あれ?あいつギターなんかやるんだっけ。生意気だな。

小)見た目だけだよ。そんな500円玉集めてるような奴に、ギターなんか弾けるわけねえだろ。

片)そりゃそうだ。あんな手の平に育った鉛筆の芯自慢しているような奴に、ギターなんか弾けるわけがない。

小)俺弾けるんだぜ。

片)触っちゃっていいのかよ。

小)いいんだよ、バカヤナギのもんは俺のもんだ。

片)だな。へへへ。

小)【中身を見て驚く】

片)マージかよ。バカヤナギって意外と進んでんだな。

小)待てよ、まだそれと決まったわけじゃないだろ。きっと、片栗粉だよ。

片)じゃあ、これはどう説明すんだよ。

小)それは、あー、限りなく注射器に近い水鉄砲だよ。

片)それか、限りなく注射器に近い計量カップ。

小)そうだよ、そうだよ。それでこの片栗粉を溶く水を測るんだ。で、このスプーンですくって、このアルコールランプで炙るんだ。

小)

片)揺るぎねぇ!!!

小)あー、そう言えば俺、聞いてるわ。あいつが、大学の後輩叱ったんだよ。ほらほらアメリカ研究会の。っで、その後輩がピッタリ言うこと聞くようになった時、バカヤナギ確かに言ってた。「ちょっとは薬が効いたかな」。

小)

片)意味が違う!

片)そう言えば、アメ研の部室には、サボテン用の温室があったけど、本当は何を栽培しているのやら。

小)そう言う言い方するの止めろよ。

片)アメ研の奴ってさ、アメリカ行くたんびに変な顔んなってったもんな。

小)どうしよう、バカヤナギを助けなきゃ。

片)あ。【携帯が鳴る】もしもし、ギターケースの中なら見てないよ。

小)あっ、ばっ。もしもし!おう、何でもねえよ。レンタカーを返した。それは良かった。帰ってきかたが分かんない?

片)きっと薬の副作用だよ!今あいつには幻覚が、

小)今何が見える?あー近い近い近い。あっ、そっち行くと逆。環八の方行っちゃうから、そ、違うよ、魚じゃねえよ。環状八号線だよ。

片)やっぱりだ。

小)その逆の方歩いてくりゃ、すぐだから。分かると思う。マンションの前にバッファローの剥製置いてあるから目印にして。しょうがないだろ、入らなかったんだから!何で持ってんだよ、あんなもん。アメリカで買ってきた。ああそう。バッファローの中身は絶対に見ないでくれ。

片)【走ってバッファローに向かおうとする】

小)【片桐を止める】分かった、分かったよ、見ない見ない見ない。見ない。大丈夫大丈夫。待ってまーす。【電話を切る】バカ野郎、聞こえたらどうすんだよ。

片)聞こえないね!なぜなら今あいつには幻聴が聞こえているから。

小)そういう言い方すんの辞めろ!

片)きっとここに帰って来れないのも、パラダイスに行っているからだ!

小)辞めろって!

片)俺もやる!パラダイスに行きたい!

小)バカなマネはよせ!

片)じゃあ利口のマネでやるよ!私はガリ勉東大生。あ、こんなところに魔法の粉が!よーし、やってみようっと!

小)バカ。とにかく、あいつが戻って来るまでに、これを元通りキレイにしとかなきゃ。

片)あいつは今キレイなものが見えているだろうけどね。

小)そういうことを言うなってば。それに、まだあいつのものって決まったわけじゃないだろ。誰かから預かってるのかもしれない。

片)誰から。

小)プレスリー。

片)あいつがプレスリーの知り合いなわけないだろ。

小)死んだよ、プレスリーは。

片)ふっ。果たしてそうかな。

小)そうだよ!

片)でもさ、例えバカヤナギのじゃなかったとしても、あいつにそういう悪い友だちが居るってのが問題じゃないか。

小)確かに。

片)そこでだ。俺は、あいつが、純粋で健全な心を取り戻すためのすばらしいアイディアを思いついた。

小)嫌な予感丸出しだな。

片)アートだよ。

小)出たー。

片)奴に絵の具とキャンバスを与えて、アートの世界に没頭させるんだ。独創的な世界を創造させるために、例の粉もちょっとは許す。

小)ダメダメダメダメ。

片)んー、燃えてきたー!「天国へのダンボール階段夢心地」「天使な俺」。あっ、バカヤナギ帰って来た。

小)やっべー。帰って来ちゃった?

片)バッファローと戦ってる。

小)揺るぎねぇー!

片)美しい!

小)はあ?!(終)

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