
どうもノンスタイルです、よろしくお願いします。

おねがいしまーす。

いや、俺ちょっと最近ね、ホラー映画っちゅうのに出てみたいなと。

怖いぞ、そんなもんお前。

でもこう見てる人を怖がらせるような演出とかな、演技とかそういうのやってみたいねん。

あ、そう。

ちょっとやってみよ。冗談半分でな、病院の廃墟とかに行ってまうワケや。オイー石田ー、むっちゃ怖いやんけー。

ここ昔泌尿器科やってんやろ?

雰囲気出ぇへんわ、雰囲気出ぇへんわ、オイオイオイ。

うわぁ、尿道がゾクゾクするわ。

いやいや、いやいやいやいや。ちょっと雰囲気出さなあかんからさ、もうちょっと怖くしてくれへん?

あ、そう。ここ昔総合病院やってんやろ?

オイ石田、あれ、ナースステーションちゃうんか?

マジかよーお前。カチャン。

タイムカード押すな!勝手なことすなお前、怖いねんから。

怖いやんけー。

ナースステーションに入ったらや、無数のカルテが散らばってるワケや。

朝焼けのー

それカルタや、お前!俺が言ってるのはカルテ、お前がやったんはカルタ。

あぁカルテか。

そうそうカルテ。カルテが散らばってるワケや。そのカルテを一枚取ったらや、名前の欄に石田明、お前の名前が書いてあんねん!

同姓同名やー!

そいういうことちゃうんねん!

スゲー!親近感わくわー

わかんでええ、わかんでええ

住所は住所は?

いい、いい、いい、住所はええねん。患者としてお前になっとるワケや!

えーっ、怖い!

怖なってな、すぐ逃げ出すやろ?で、廊下を走ってたらな、クスクス、クスクスって笑い声が聞こえてくんねん!

あ、チャック開いてた。

そいういうことちゃうねん!

笑うなやー、お前!言えやー!言えやー!【幽霊とじゃれ合う】

こっちこっち、オイオイ、オイ!オイ!オイ、オイ!この序盤で霊とじゃれたら怖ないやろ?違う、そこはバーッて走って逃げてくワケや、怖なったからどこかの部屋に逃げようとするけどな、カギが掛かってんねん。ガチャ!あぁ!

よっ、ナイス戸締り!

言わんでえぇわ、そんなこと!で、唯一入れる部屋にガチャッと入ったらや、なんとそこが、手術室。

ヒャーッ、お前「しゅじゅちゅしちゅ」ってちゃんと言えるん!?

雰囲気台無しや!

スゲー、「ちゅじゅつしちゅ」ってお前ちゃんと言えてたやん!

雰囲気が台無しや!

違う、お前手術室ってちゃんと言えてたやん!俺全然「ちゅじゅちゅちちゅ」って

えぇねん、もう!

え?

余計なこと言うな!

うん。

で、手術室やったワケや。手術室入った瞬間や、扉がバタンって閉まってや、さっきまで聞こえた笑い声がピタって止まんねん。

隣の部屋先生来たんかな?

修学旅行の夜ちゃうわ!そういうこと言うてんちゃうやろ。それ霊の仕業なワケや。

うん。

ほんならな、どこからともなく男のうめき声や。ぬぅわぁーーーっ!

あ、室伏。

違うわ!アホ。なんで手術室でお前室伏が自主練しとんねん、アホ。違うそこは血まみれの男の霊やろ?で、怖くなって俺ら窓から逃げ出すねん。バリン!

ムニュ!ア・ミ・ド!

無いとこ行けや!なんで網戸のとこ行っとんねん、アホ。

網戸に引っ掛かって

無いわ、もう網戸とか無いんやったら逃げ出すやろ?命カラガラ逃げてってな、これで安心したーと思ったら次の日や。

おぅ。

お前の家におったらお前の携帯が急に鳴り出すねん。

ピピピピ、ピピピピ。あ。

「診察に来てください」

えーーーーっ!?

送信者んとこ見たら昨日行った病院や!

お前勝手にアドレス教えたやろー!【嬉しそうに井上をたたく】

何を盛り上がってんねん

だって俺教えてないもん。絶対お前やー、お前しかおらへんやんけ!テンション上がるわー!

そういう問題ちゃうやろ!怖がらんかい!そこはお前。ほんでそのメール見たらな、写真が付いてあってや、写真をパッと見たらやオイ、

ごめん、ちょっと電話やわ。

タイミング考えろや!お前。

アハアハ、とりあえずあの輪ゴムにあんかけしといて。

何の話しとんねん!どういう状況や、輪ゴムにあんかけって。なんのオーダーやそれ。

え?

違う。写真をパッと見たらや、血まみれんなったお前が手術台に横たわってるワケや。

オイ、ウソやろ、

石田。

俺こんなに頬骨出てるん?

どこ気にしてんねん!オイ。そこちゃう、そこちゃう。血まみれの写真が来たとこに気にせぇや、お前。ほんでお前気が動転してな、病院に行こうとすんねん。

ふざけやがってー!【去ろうとする】

オイ石田!

なんやねん!?

どこ行くねん?

病院に決まってるやろ!

そんなとこ行ってどうすんねん?

頬骨削ってもらうねん。

気にしてた?気にしてたのー?

整形手術や!

どこ行くのー?

美容整形外科や。

そこ行くの?いや、昨日の病院じゃなくて?

怖いやろ?お前。

怖いってなんや、怖いからえぇんやんけ、お前。
え?[/char]

そこはな、お前幽霊なんかにやられてたまるか!

幽霊なんかにやられてたまるか!

石田!

なんや?

俺も一緒に行く。

いのうえー。

俺に何があっても・・・お前を助けてみせる。

いけにえー!

井上や!お前土壇場で俺のこと差し出す気やろ?こういう会話しとったらまたな、再びや、お前の携帯が鳴り出すねん。

【低いおじさんみたいな声で】メールが来ましたでー。

どんな受信音やねん!お前ジジィの着ボイス嫌やろ?お前さっきまでピピピピやったやろ!いつ変えてん!?もうえぇわ、ほんで携帯パッと見たらや、

オイ、ウソやろ、

石田。

なんやねん、急に別れようって。

彼女からちゃうねん!オイ。

【甘えた声で】ヤやー、

台無しや!

ヤやー!

雰囲気考えろや

ん?

雰囲気考えろや、お前。そこは携帯パッて見たらや、「往診します」。

ひやぁーー。【携帯を打ちながら】結構です

何してんねん、オイ。

【井上の往診しますのトーンで】「返信します」

どこ怖くしてんねん。そんなとこ怖くしてもアカンねん。ほんで言うててな、パッと窓開けたらや、向こうからな、髪の毛の長い女性の医者の霊がどんどんどんどん近付いてくんねん。

【嬉しそうに】マジかー!?お前どうする?マジでヤバいってお前ー。

髪の毛セットすなっ、お前。

ヤバいヤバい。

なに霊にモテようとしてんねん。

えぇー。

いらんねん、そんなん。

ちゃうんか?

ほんで怖くなってきたから、オイ石田!塩持ってこ!

OK!OK!OK!【ステーキ屋にあるような回すタイプの入れ物から塩を出す動き】

シェフかお前!時間掛かってしゃあないやろ!あと聖水も振ってこ!

OK!OK!【香水のように首元に塩を塗る】

モテようとすんの止めや!香水みたいにせんでえぇ。

あーお前お札も貼っとけお前、お札も貼っとけ。

油とり紙もえぇねん!モテようとすな言うてんねん。

あ、うん。

そうこうしてたらまた再びお前の携帯がピピピーと鳴るワケや。

いや、「メールが来ましたでー」、や。

どっちゃでもえぇわ!なんでもえぇ、ほんなもん!お前。ケータイが鳴るワケや。パッてケータイ見たらや、また写真が送られて来ててや、お前が家におる時にな、今のお前の立っとるところの後ろに、女性の霊が立ってるワケや。

ふわぁ。

恐る恐るパッて振り向いたら
※揃って後ろを振り向く二人

うぎゃぁぁーーーーーーっ!めっちゃタイプやぁーー!

怖がれやーー!もうえぇわ。