
どうもー、尼神インターです、お願いしまーす。

歩くん早いぃー。

もうなんやねん、うるさいなぁ。

誠子歩くん遅いねんからそう先々行ったらイヤー。

もうカップルみたいなこと言うな!

コンビなんてカップルみたいなもんやからね。

ちゃうわ!

ね、そんな事よりさ。

うん。

今日の私との約束、ちゃんと覚えてんの?

約束?

うん。

何か約束してたー?

もう、私との約束すぐ忘れんねんから。

え、何かしてたー?

ったくー。・・・私が昔話の桃太郎好きなんはもちろん知ってーる、よ、ね?

知ってる、うん。

知ってるよね。だから今日は桃太郎が、鬼と闘うシーンやるって約束したやろー?

あー何か言ってたな。

うん。

そやそや、思い出したわ。

うん、今からやろっ!

え、でもさ、桃太郎あんま興味ないわ。

え?

それやったらあの、あれやりたいわ、浦島太郎。

ちょっと待ってぇ?私さ、今日の桃太郎すっごい楽しみにしててんで?この日のために仕事も毎日頑張ってさーあ?

うん。

昨日なんか夜全然寝れへんかってんから。

よっしゃ分かった!じゃあ桃太郎やろ。

ヤッタネ!

何やそれ!?

じゃあ私が桃太郎やるから、アンタ鬼やってくれる?

分かった。

はーここが鬼ヶ島かぁ。

誰だ、貴様は!?

僕は桃太郎、君を退治しに来た!

誰が貴様みたいな子供に負けるか!鬼の本当の恐ろしさを思い知るがいい!桃太郎 覚悟!キン、キン、キーン!うりゃあっ!

わー。イテテテテテテテテー!

貴様、その程度か!

よし、行くぞーっ!ザァッ!

【腹を刺される】うわぁっ!・・・うっ・・・うっ・・・うっ・・・うっ・・・

え?

うっ・・・うっ・・・うっ・・・はぁ・・・。お前みたいな、強いヤツが、この世にいたなんて・・・はぁ。

え?

俺はお前に倒されてはぁ、はぁ・・・幸せだ・・・はぁ・・・我が人生に・・・一点の曇りなーしっ!うっ・・・うっ・・・。

え?何?何これ、え?

あぁ、桃太郎も意外と楽しいな。

あんたさ、桃太郎やったことあるやろ!?

え?

私以外の誰かと桃太郎やったあるやろ!?ねぇ?

ない、ないよ。

おかしいやんか!興味ないって言ってたのにこんなに出来んの!

な、ないって。

あそこら辺の演技は、素人の演技じゃなかったよ!

え?

何回かやり込んでる人の演技やったよ!?

え?ちゃうやん。

我が人生に一点の曇り、なぁーし!って言ってたやんか!なぁーし!は何回かやってる人の演技やで?ねぇ?

やって、やってないよ。

どの女とやったんよて!ね?

彼女みたいなこと言うなて。

ねえ、どの女とやったんよて!

うん、連れや。

連れ?

うん、地元の連れ。

地元の連れ?

うん。

名前はぁ?

いや、そんなんお前に言っても分からへんて。

今ここで電話してー?

いや、それ、それは無理や、無理。

ほら!嘘ついてるから無理なんやろ?ねぇ!

嘘じゃない、お前の誤解や。

どの女とやったんよて。

いや、連れやって。

まさか今日来てるとかじゃないやんねぇ?

え?

えー誰ですか?あなたですかー?

おいおいやめろって!

さっきからえらいよう笑て!

おい、やめろって!

あなたこの人と桃太郎したんですかぁ?

おいやめろって。

この泥棒猫が!!

もういいかげんにしろ!

何よ、離してよ、離して!

離さへん!

離して!

あっ、痛った・・・!

へ?

痛った・・・。

え?大袈裟やし。え、何?何?え、何これ?あざだらけ・・・え?

バレてもうたか。

え?

実はな、ずっと一人で桃太郎練習しててん。

へ?

お前が桃太郎やりたいって言った日からこの日のために。

え?

お前にな、最高の桃太郎、やらせてあげたくてさ。

あぁ・・・!

ごめんな、黙ってて。

私もごめーん!

いや、ええねん。

酷いこといっぱい言ってごめーん!

ええねんで。

信じてあげられんくてごめーん。

えぇねんえぇねん。

あなたもごめんなさぁい!

そやな、ごめんな。よっしゃ、じゃあもっかい桃太郎やるか!

やぁーるぅー。

うん、やろやろ。ほな行くで。桃太郎、覚悟!おりゃあ!

【刀を振り下ろす渚に抱き着く】

おい、お前、どうしてん?

ありがとう・・・私だけの、優しい優しい、鬼さん。

ずっと何してんねん!もうえぇわ。

どうもありがとうございました。